wired raven

文字通りの日記。主に思ったことやガジェットについて

Extreme World

アドストラトスフィア(9)

9. 48時間前 イルミネア大陸上空 大陸の至る所で戦いが始まっていた。 夜の空からは戦いの光がちらちらと揺らめいているのがよく見えた。 「何機上がれた?」 第500飛行隊1番機「ブラック・レインボー」のレイルは振り返りながら叫んだ。 振り返れば5機の機影…

アドストラトスフィア(8)

8. 49時間前 EW内 ギルド「エンケの空隙」拠点 この古風な城の拠点には作戦指揮所と呼ばれる部屋がある。 石造りの城にはおおよそ似つかわしくない大型ディスプレイや通信機、高性能なコンピュータが所狭しと並んでいた。 基本的にはここから指揮を出すこと…

アドストラトスフィア(7)

7. 2週間前 現実世界 田辺宅 居間の卓球ができそうなぐらい大きなテーブルいっぱいにロール紙状のディスプレイが広げられていた。 「持ってて良かった」 と楽しそうに言ったのはディスプレイの主の伊藤だ。 「皆で話すとなるとこういうのは必要だな」 「無駄…

アドストラトスフィア(6)

6. ニーレン外れ「キムラ研究所」 小天体が衝突するという事態はプレイヤーたちの視線を宇宙に向けた。 最大の変化は宇宙空間を満たしている亜エーテルを魔術などに使えるエーテルに変換するエーテル・リアクターの実用化と爆発的普及だ。 ギルド間の技術的…

アドストラトスフィア(5)

5. 1週間前 EW内「不可知の森」 小高い丘からは不可知の森の全体がよく見える。 物騒な名前がついた森だがナビゲーションシステムが今ほど発達していなかった頃は、道に迷う者が後を絶たなかったという。 何処も似たような景色で迷いやすかったそうだ。 そん…

アドストラトスフィア(2)

2. 2ヶ月前 現実世界 田辺宅 「状況は芳しくないな」 一騎は空中投影ディスプレイ内のレポートを見て言ったのだった。 宇宙空間航行可能な機竜を所有するギルドおよびギルド同盟はファルクラムの迎撃の準備をしていた。 機竜を所有しない、もしくはできない…

アドストラトスフィア

1. 3ヶ月前 EW内大陸間非戦闘海域上 「時間ね」 スグリは甲板から船内に戻る。 エンジンの音も波の揺れもほとんどなく、金属のフレームのある丸い窓や白く塗られた金属製のタラップがなければ、陸にいると勘違いしそうだ。 狭い通路をつかつかと歩くスグリの…

手に握っている小剣は先から出番がほとんど無い。 一度、距離をとったのがまずかったらしい。 相手は弾幕を展開し、こちらを近づかせないつもりのようだ。 少しでも疲れた様子を見せれば、ゆっくりとした足取りで近づいてくる。 それも剣と言うには巨大な凶…

「ま、マジぱねえっす!」 ヘゲルは軽いノリで相手の横薙ぎを後ろにステップして回避する。 防具の光学迷彩は効果がなく、着ているだけ邪魔になっていた。 子どもが布を被ってお化けの仮装をしたものと全く同じそれは、動けば空気を掴んで抵抗になる。 いっそ…

第9回 街の構造

そろそろ書いたらどうなのか、と弟に小突かれたのでネタをねだったら街の構造を投げて来た。 そう言えば書いてなかったということで今日は街の構造について。 街は 城区画 居住区画 商業区画 工業区画 娯楽区画 になっている。 オーソドックスな街だと城を中…

「相手はブラック・アウトか。気を抜くなよ」 「噂聞く限りじゃそんな余裕なさそうだ」 「どういうこっちゃ」 「戦闘開始と同時に落とされそうだから」 「お前なぁ。せめて、先に落とすぐらい言ってくれよ」 「強がりは言わない主義なんだ」 「お前は謙遜の…

星の屑・その後(3)

宣言通りの射撃が来るに違いない。 だから、私はコンテナを蹴って身体を斜め前へ。 相手が構えているのは狙撃用の銃で、近距離での取り回しは良くない。 元の位置でもお世辞にも良いとは言えない。 それに近距離にいけば、あの男の魔術も無力化できる。 左手…

星の屑・その後(2)

着地と同時に女が取った行動は自動小銃2丁による連射撃だ。 女から見て右のオフィーリア、左のエプシロンに向けてそれぞれ17発。 二人の身につけていたシールドジェネレータが作動、周囲のエーテルを防護の力に変換する。 赤いドレスの女が弾を打ち尽くすと…

星の屑・その後

「派手にやってるね」 黒髪の少年は横にいる少女に言った。 「そうですね」 ロビーにある緊急のクエストボードで、港の調査依頼を請け負った二人は装備を整えてその港に来ていた。 あちこちに弾痕や爆発の跡が残されている。 警備員の話によるとどうやら、二…

星の屑

「ちきしょー、あいつ」 男は撃たれた腕を押さえながら、コンテナの影に隠れた。 顔を出そうものなら、コンテナの向こうにいる女が持つ突撃銃の餌食だろう。 幸い、致命傷にはならずに済みそうだ。 別に致命傷になったところで、男にとってはさしたる問題は…

「営巣地の爆撃か。あまり、気乗りしないな」 田辺はシートに寄りかかった。 それも、頭の後ろで手を組んだ姿勢で、当然ながら操縦桿からは手が離れている。 「歩兵の楽しみを奪う可能性があるからか」 とエリス。 「そうだな。それと、情が移ったのかも知れ…

混戦(18)

ブラック・アウト、速度を維持したまま機首を反転。 大きな半円を描いてリヴァイアサン――コピーのブラック・アウト――に向かう。 リヴァイアサン、AMSを集束モードで射撃、ブラック・アウトを薙ごうとする。 黒の機竜は機首を水平にしたまま、スラスターを使…

混戦(17)

ミサイルを振り切ろうにも機体の推力があがらない。 田辺は咄嗟に生きている機体左にあるシールドジェネレータを作動させる。 さらに壊れたシールドジェネレータ分のエネルギーを送り込む。 設計限界を超える強度の光の防壁がブラック・アウトの左側面に発生…

混戦(16)

壁のように目の前に立ちはだかる弾幕にも機体が通れるだけの隙間がある。 黒の機竜はその隙間に一直線に飛び込む。 上下、左右に隙間を通り抜ける機体は大きく揺れる。 弾幕を切り抜けると、リヴァイアサンの右側面が見えた。 弾幕が止んでいるのは 「シール…

混戦(15)

苛立ちに似た感覚を覚えながらケイは突撃してくる黒の機竜に連射撃を行う。 全武装で射撃しているのにも関わらず、攻撃は一つも当たっていない。 大して機体の性能は生かせない癖に英雄面して、友軍がついてきて当然という態度が気に入らない。 あの赤の機兵…

混戦(14)

機体の操作は田辺に任せてエリスは敵への攻撃手段を考えていた。 敵は超長距離・超火力の空中要塞だが一つだけ弱点があった。 装甲が薄く、通常の空対空ミサイルでもダメージを与えられるのだ。 しかし、シールドを装備しているので、装甲に攻撃するにはまず…

混戦(13)

ブラック・アウトが射程にとらえるよりも早く、相手の拠点防衛用機竜が攻撃を仕掛けてきた。 こちらに向かって飛来してくるのは16連の青の光だ。 田辺は右方向にブレイク。 だが、光も角度を変えてブラック・アウトに迫る。 蛇のようにしつこい奴だ、と田辺…

混戦(12)

紅蓮は機体を造反した部隊に向ける。 左右を見れば黒や灰、空の色の機兵が並び、上を見れば機竜隊がV字隊形で雲を引いている。 敵も機竜と機兵の混成部隊のようだった。 良く見れば新型の機兵も混じっている。 彼の乗っている機体よりも、機動性も高く航続距…

混戦(11)

『生きてるか、ブラック・アウト』 エクスカリバー2――ワイルドファイア――の問いに田辺は浅く息を吐いてから、 「生きてるよ。そっちはどうだ?」 『見ての通りだ』 「なるほど、元気そうだ」 並走する両機の後方、敵の機竜集団には球状の空間が生まれている。…

混戦(10)

手甲型の武器の中でアリウムはこぶしを強く握っていた。 ころりと態度を変えた相手が気にいらないのだ。 ぐちゃぐちゃにかき回して、気が済んだらそそくさやめる。 そういうプレイはオフラインのゲームでやるべきだ。 さらに彼女が気に入らないのは正面から…

混戦(9)

スグリは各ギルドの魔術師を召集し、大規模攻撃魔術の準備を進めていた。 使用する魔術は空間をえぐり取る魔術だ。 有効半径がkm単位の為、地上絵のごとく魔法陣が描かれている。 その魔法陣の模様にそってエーテルを散布する機械と魔術師がある。 魔法陣の…

混戦(8)

彼の勘通り、彼女は見晴らしの良い丘の上にいた。 キャラクターの容姿が本人と同じだったのですぐにわかった。 全力で飛ばしてきた彼をケイは潤んだ瞳で迎えた。 「来てくれると思ってたよ、アズ兄」 それは兄が、ではなく恋人が来てくれたかのような雰囲気…

第8回 機竜乗りになろう

プレイ日記だけ書いてこのコーナーほったらかしだったのでなんとなく(殴 第500飛行隊のギルマスさんから依頼が来たのでさっくりと。 機竜というのは、このゲームにおける戦闘機とかそういうのにあたるもので、見た目は実際にある戦闘機から、漫画チックなも…

混戦(7)

オフィーリアとエプシロンの二人は地上の魔術師部隊の護衛にあたっていた。 彼らの頭上、はるか高い場所で敵と味方の機竜が戦っている。 時折、落下してくる機竜の残骸を銃撃や魔術で破壊するのが彼らの役割だった。 「あの声……」 無線から聞こえてきた敵の…

混戦(6)

『エクスカリバー1、後ろだ。何やってやがる!!』 エクスカリバー2が叫ぶ。 エクスカリバー1の後ろについているのはMD-35の改良型だ。 追尾性能の高いミサイルとシールドを貫通するエーテル凝縮弾を搭載している化け物。 『そのまま、直進だ。あたるなよ』 『…